美術市場について調べるには
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人文総合情報室 作成
美術品の取引される「美術市場」(アート市場、アートマーケット; art market)について調べるための資料を、当館所蔵資料やインターネット上の情報源を中心に紹介します。
書誌事項末尾の【 】内は当館請求記号です。
1. 概況を知る
1-1. 日本
全般
- 日本のアート産業に関する市場調査(文化庁/一般社団法人アート東京)
日本における美術品取引に関する各種の調査データを掲載しています。2016年以降の調査結果を閲覧できます。 - 金融財政事情研究会 編『業種別審査事典 第9巻 第14次』(金融財政事情研究会 2020 【D2-M40】)
業種ごとに業界動向や市場規模などを分析しており、本巻には「美術商」の項目が掲載されています。なお過去の版では「画廊」の項目も掲載されています。
専門誌・専門紙
以下の美術専門誌・紙に関係する記事が掲載されていることがあります。
- 『新美術新聞』(美術年鑑社 旬刊 【Z86-115】)
- 『月刊美術』(サン・アート 月刊 【Z11-717】)
- 『美術手帖』(カルチュア・コンビニエンス・クラブ 隔月刊 【Z11-44】)
「アートの価値の解剖学」(2021年10月号)「「NFTアート」ってなんなんだ?!」(2021年12月号)など関連する特集が組まれている号もあります。
公的統計
公的統計で美術市場に関連したデータは少ないですが以下のものがあります。
1-2. 世界
- Iain Robertson 著"Understanding art markets : inside the world of art and business"(Routledge 2016 【K251-B296】)
世界の美術市場についての概説書です。 - The Reports by Artprice.com(Artprice)
2002年以降毎年の世界の美術市場の動向を調査したレポート類を掲載しています。 - The Art Basel and UBS Global Art Market Report(Art Basel・UBS)
UBSと国際的な現代アートフェアのArt Baselの発行する調査レポートを過去のものを含めて閲覧できます。 - Art Market Report(The European Fine Art Foundation(TEFAF))
ヨーロッパのアートフェアであるTEFAFの発行する美術市場に関するレポート類が掲載されています。 - "Worldwide Art Dealers Industry Report"(Barnes Reports)(当館契約データベース)
各国の美術商の数や売上高などの統計データを掲載しています。当館で閲覧できるのは2009年版のみです。 - "United States Art Dealers Industry Report"(Barnes Reports)(当館契約データベース)
2009年以降のアメリカにおける美術商に関する統計データを掲載しています。
2. 歴史的な動向を調べる
1.のほか、近現代の美術市場の動向や歴史を知るための資料として以下のものがあります。
- 東美研究所 編『東京美術市場史』(東京美術倶楽部 1979 【K251-32】)
「歴史編」には江戸時代以降の美術市場の変遷が記されています。「資料編」には取引価格や東京美術倶楽部での落札価格など各種データが掲載されています。 - 瀬木慎一 著『美術経済白書』(美術年鑑社 1991 【K251-E39】)
1960年代から1990年までを中心に年ごとにデータや分析を交えながら美術市場の動向を記しています。 - 瀬木慎一 著『国際/日本美術市場総観 : バブルからデフレへ1990-2009』(藤原書店 2010 【K251-J87】)
1990年から2009年までの日本・世界の美術市場の動向や推移を追った資料です。 - Titia Hulst 編"A history of the western art market : a sourcebook of writings on artists, dealers, and markets"(University of California Press [2017] 【K251-B300】)
西洋における美術商や美術市場の歴史を概観しています。
3. 法的側面について知る
- 島田真琴 著『アート・ロー入門 : 美術品にかかわる法律の知識』(慶應義塾大学出版会 2021 【A611-M19】)
美術品取引に関連した法的なトピックや美術商・オークションハウスに関わる法律知識などについて事例を交えて解説しています。
4. 取引価格を調べる
リサーチ・ナビ「美術品の価格を調べる」を参照してください。
5. 美術商について調べる
5-1. 日本
国内の美術商・画廊等を全て網羅する名簿はありません。下記のウェブサイトや年鑑類、事典などにその一部が掲載されていることがあります。
- 日本の画廊調査1945年以降(Artplatform Japan)
戦後の全国の画廊の基礎情報を検索・閲覧できます。 - 『美術年鑑』(美術年鑑社 年刊)
出版社ウェブサイトにギャラリーガイドを掲載しています。 - 『美術名典』(芸術新聞社 年刊)
- 『美術市場』(美術新星社 年刊)
- 『美術家名鑑』(美術倶楽部 年刊)※2011年版を以って終刊
- 『美術界データブック = The fine arts industry data book : 美術の窓の年鑑』(生活の友社 年刊 【Z72-D958】)
- 『J.arts EAST : Encyclopedia of Arts』(麗人社 2013 【K9-L3】)
- 『J.arts WEST : Encyclopedia of Arts』(麗人社 2012 【K9-J15】)
美術商によっては社史を刊行している例があります。詳しくはリサーチ・ナビ「社史について調べる」を参照してください。
- 『美術商の百年 : 東京美術倶楽部百年史』(東京美術倶楽部 2006 【K251-H31】)
東京美術倶楽部に加入する美術商の略歴等が掲載されています。 - 画廊関係情報(東京文化財研究所)
東京文化財研究所の所蔵する画廊関係の資料を検索できます。
5-2. 世界
- "International directory of arts"(De Gruyter Saur 【Z62-A565】)
第2巻に美術商の名簿を掲載しています。なお、第1巻は美術館や関係団体の名簿、第3巻は総索引です。
5-3. オークションハウス
- 『世界のオークション・ガイド = World auction guide』(目の眼 2014 【K251-L18】)
日本・世界の主要なオークションハウスとその概要を掲載しています。
6. 調査・研究
6-1. 全般
- Tom McNulty 著 "Art market research : a guide to methods and sources Second Edition"(McFarland & Company, Inc., Publishers [2014] 【K251-B295】)
美術品の市場価値の調査方法や情報源などを解説しています。 - 『西洋美術研究』(19)(三元社 2016 【Z71-D53】)
「美術市場と画商」をテーマに論文や動向、文献リスト等を掲載しています。 - "Journal for art market studies"(Forum Kunst und Markt 2017-)
美術市場研究を扱うオープンアクセスの学術誌です。
このほか、美術関連の文献・資料を探す場合はリサーチ・ナビ「美術・建築に関する文献を探すには(主題書誌)」や国立西洋美術館の「学術情報案内」、東京国立近代美術館の「美術文献ガイド」なども参照してください。
6-2. 国立国会図書館サーチで文献を探す
関連するキーワードで検索する一般的な方法のほか、以下のように分類や件名を利用して検索することが可能です。
美術市場に関する文献はNDLC(国立国会図書館分類表)のK251(美術品の収集)に分類されていることが多く、国立国会図書館サーチでは絞り込み条件を開き、項目追加をクリックして、NDLC分類を追加して、「K251*」(*は前方一致検索)を入力して検索します。
また、件名として「美術商」や「文化経済学」が付与されている資料にも関連するものがあります。詳細検索画面の件名欄に「美術商」や「文化経済学」と入力して検索します。