漢方薬、生薬について調べる
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科学技術・経済情報室 作成
漢方薬、生薬について調べるための資料には以下のようなものがあります。
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1. 漢方薬に関する参考図書
漢方薬は、漢方医学理論に基づき、原則として2種類以上の生薬(後述)を配合した処方薬であり、「葛根湯」や「小青竜湯」といった処方名(方剤名ともいいます。)で親しまれています。
漢方製剤には、医療用漢方製剤(医師により処方されるもの)と一般用漢方製剤(患者が薬局などで自由に購入できるもの)があります。
1-1. 医薬品集、処方集
- 『JAPIC漢方医薬品集. 2014』(日本医薬情報センター 2014.1 【SD2-L30】)*
医療用漢方製剤(148処方)および一般用漢方製剤(294処方およびその他の漢方製剤)について、主に添付文書(医薬品の製造販売業者が医薬品に添付する、使用上の注意や効能、副作用などが記載された文書)の情報を基にまとめた資料です。
巻末には効能効果対応標準病名一覧、製薬会社住所録、五十音索引(商品名)、製品番号索引があります。 - 『新一般用漢方処方の手引き』(じほう 2013.9 【SD131-L12】)
「一般用漢方製剤承認基準」(平成24年8月30日薬食審査発0830第1号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知※)に対応して、一般用漢方製剤の294処方についての情報をまとめた資料です。
※本基準は「一般用漢方製剤製造販売承認基準について」(平成29年3月28日薬生発0328第1号厚生労働省医薬・生活衛生局長通知)の施行に伴い廃止となっています。
1-2. 医療従事者向けの参考図書
『漢方医学大全』(静風社 2022.11 【SC851-M184】)
日本東洋医学会による、漢方医学における理論と治療の総合解説書です。
第1部「漢方治療編」では漢方医学の歴史や基本理論、診療と治療、症候別の漢方薬の頻用処方などについて、第2部「鍼灸編」では鍼灸治療について解説しています。第3部の「漢方処方解説 生薬一覧編」では医療用漢方エキス製剤147処方の解説などを掲載しています。『エビデンス・ベース漢方薬活用ガイド:困り果ててる普通の医療関係者に向けた』(第2版 京都廣川書店 2018.11 【SD131-M10】)*
病棟薬剤師を主な対象として書かれた、漢方薬のガイドブックです。
63の漢方処方について、味、構成生薬、副作用といった情報のほか、薬効に関するエビデンスについて、論文名とその抄録をまとめています。
付属のポケット版では、症状ごとに処方できる漢方および使い分けのポイント、エビデンスレベルを一覧表でまとめています。
1-3. 学習者向けの参考図書
- 『図解漢方処方のトリセツ : 生薬の働きから読み解く』(第2版 じほう 2021.9 【SD131-M56】)
薬剤師や学習者に向けて書かれた、医療用漢方製剤の解説書です。
「総論」では漢方理論について解説し、「各論」では医療用漢方製剤148処方の服薬指導のポイントのほか、効果、効能のしくみについて図を用いて解説しています。
巻末に製品番号別索引があります。
なお、出版者のホームページで訂正情報を確認できます。 - 『図解・表解方剤学』(東洋学術出版社 2018.6 【SD131-L90】)*
学習者に向けて書かれた方剤学の参考書です。
225の主要方剤と180の関連方剤について、薬効別に分類した上で、それぞれの組成、用法、効能などを掲載しています。
巻末に索引(方剤名、中医用語、西洋医学的病名・症状)があります。
2. 生薬に関する参考図書
生薬とは、植物・動物・鉱物などの全部または一部を、原形のまままたは簡単な処理を施し、医薬品または医薬原料として用いられるものをいいます。
生薬に関する公定規格としては、日本薬局方(「「日本薬局方」ホームページ」に掲載)および日本薬局方外生薬規格(後述)があります。
生薬の基となる植物・動物・鉱物などとその薬用部位は、「基原」と呼ばれています。
- 『日本薬局方外生薬規格 = The Japanese standards for non-Pharmacopoeial crude drugs : 和英対訳 : 付・技術情報 2022』(薬事日報社 2023.3 【SD113-M25】)*
日本薬局方に収載されていない生薬に関する規格です。性状(色、形状、香り、味)、確認試験、貯法などを日本語および英語で定めています。
日本薬局方外生薬規格2022は、厚生労働省のウェブサイトでも閲覧可能です。
2-1. 処方や薬理に関する参考図書
- 『漢方294処方生薬解説 : その基礎から運用まで』(第2版 じほう 2021.12 【SD131-M62】)*
一般用漢方製剤の294処方に用いられる全ての生薬について網羅的に解説した資料です。
巻末に生薬名索引、処方名索引があります。 - 『漢方のくすりの事典 : 生ぐすり・ハーブ・民間薬 : カラー版』(第2版 医歯薬出版 2011.6 【SD2-J107】)*
一般の人から医療従事者までを対象として、漢方薬、家庭薬などに配合されている生薬(植物性生薬、動物性生薬、鉱物性生薬)約780種類について解説した資料です。
巻末には薬剤名から基原・効能などが調べられる一覧のほか、効能用語解説、生薬英名対照リスト、生薬名索引、事項索引、和名索引などがあります。 - 『漢方方剤の重要生薬100選 : 薬能と薬理の解説』(たにぐち書店 2022.9 【SD131-M77】)*
医師に向けて、主要な生薬100種の概要・基原、東洋医学的薬能、配合方剤、薬理・成分などを解説した資料です。生薬ごとに参考文献が示されています。 - "Handbook of Chinese medicinal plants : chemistry, pharmacology, toxicology"(Wiley-VCH c2011 【SD121-B47】)
伝統中国医学に用いられる薬用植物に関する2巻組の資料です。第2巻の巻末に化学物質名や植物名に対応した索引があります。
2-2. 歴史に関する参考図書
- 『生薬大事典 : 歴代日本薬局方収載』(ガイアブックス 2015.4 【SD2-L74】)
歴代日本薬局方(1886年の初版から2014年の第16改正版第2追補まで)に収載された約300種の生薬について、その歴史的由来などをまとめた資料です。
付録として、生薬名と収載されている歴代日本薬局方・国民医薬品集の対応を表にまとめた「生薬・漢方処方エキス剤一覧」、「画数順・漢名(万葉仮名)読みがな一覧」などがあります。 - 『薬物名出典総索引 : 江戸・明治初期の薬物検索のための』(内藤記念くすり博物館 2001.3 【YU7-1611】)
明治初期頃までに成立した古典籍122点から約26万5000語の薬物名を採録し、各薬物名に対して記載図書の略書名・巻数・丁数/頁数を記載した資料索引集です。
なお、本書の続編として、『薬物名出典総索引 : 江戸・明治初期の薬物検索のための. 続編』(内藤記念くすり博物館 2008.3 【YU7-J274】)があります。
2-3. 辞典、図鑑類
- 『中薬大辞典』(小学館 1990.6 【SD2-E25】)
中薬(中国の伝統医学(中医学)で用いる生薬)について、植物薬4,773点、動物薬740点、鉱物薬82点、古くから単独で薬として用いられてきた加工製造品172点の計5,767点に関する情報を掲載した、全5巻(本編4巻と別巻1巻(索引))の辞典です。
別巻には総画索引、薬用植物・動物・鉱物学名索引(欧文)、薬用植物・動物索引(和文)、化学成分索引、薬理作用索引、病名索引があります。 - 『中国本草図録』(中央公論社 1992.11-1993.12 【SD2-E50】)*
植物、動物、鉱物由来の中国生薬約5,000種のカラー写真を収載した、全10巻と別巻1巻(総索引)から成る図鑑です。
各巻末にその巻の学名索引があります。また、別巻には生薬漢名・基原中国名索引(五十音引きおよび画引き)、基原学名索引、基原植物和名索引、基原動物和名索引、鉱物生薬索引があります。 - 『原色中国本草図鑑』(雄渾社 1982.9-1986.11 【SD2-55】)(国立国会図書館デジタルコレクション:館内限定)
生薬の基源となる植物(一部、動物を含む)について、約1,600点の手描き原色図を収録した、全9巻(本編8巻と総索引1巻)の図鑑です。
各巻末に、中国名索引(筆画順)、日本名および日本読み索引、学名索引(アルファベット順)があり、総索引には全ての索引と正誤表を掲載しています。 - 『生薬写真集』(アルプス薬品工業 1997.11 【SD121-G42】)
植物由来の生薬を中心とした166種の生薬(937検体)およびそれらの基源である植物157種の写真と、主要な生薬28種の高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によるクロマトグラム(測定結果)を掲載した資料です。
巻末に生薬、植物、成分索引(和文・欧文)があります。 - "The cross name index to medicinal plants"(CRC Press c1996-c1999 【SD2-A35】)
世界の薬用植物の、3万件に及ぶ一般名(common names)と4,000件以上の学術名(Latin scientific names)の相互索引(全4巻)です。一般名の起源採取国は41か国、対象言語は日本語も含め26言語です。アフリカ・フィリピンについては方言も採取対象としています。
3. 副作用被害に関する参考図書
- 『健康食品・中毒百科』(丸善 2007.1 【PC25-H159】)*
痩せ薬、健康食品、漢方薬・生薬が原因の健康被害についてまとめた資料です。
巻頭に五十音順とアルファベット順の索引があります。
4. 国立国会図書館サーチで検索するには
その他の資料は、国立国会図書館サーチで検索できます。タイトルや編者・出版者名に含まれるキーワードから探してください。
科学技術振興機構が提供するJ-GLOBALにて別名や同義語を調べ、キーワードを広げることも有用です。
ここでは、国立国会図書館分類表(NDLC)による分類や国立国会図書館件名標目表(NDLSH)による件名から検索する代表的な方法を紹介します。
分類
以下のような分類記号に、キーワードとして「漢方」、「生薬」などを掛け合わせて検索します。
- 漢方医学 SC851
- 生薬学・薬用動植物学 SD121
- 家庭薬・民間薬 SD131
件名
「漢方薬」、「薬用植物」、「漢方医学」などが普通件名として挙げられます。
また、Web NDL Authorities(国立国会図書館典拠データ検索・提供サービス)の分類記号検索において「NDLC」を選択し、「SC851」や「SD121」などで検索すると、漢方薬や生薬に関連するほかの普通件名を探すことができます。
5. インターネット情報源
5-1. 漢方薬、生薬のデータベース
- 薬用植物総合情報データベース(国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所 薬用植物資源研究センター)
日本で流通する重要漢方処方に配合される生薬約75種を中心に、薬用植物の情報、生薬の情報、成分・遺伝子に関する情報、栽培法に関する情報などを収録した総合的薬用植物データベースです。
生薬名、植物名のほか、含有する化合物や遺伝子情報からも検索できます。 - 伝統医薬データベース(Trad MPD)(富山大学和漢医薬学総合研究所)
生薬に関する各種情報(学術情報、基原植物の遺伝子情報など)、漢方薬に関する各種情報(漢方方剤情報、文献情報など)および生薬に含有される化合物に関する各種情報を調べられるデータベースです。
各種分析結果・試験結果など、一部情報の閲覧にはアカウントの作成が必要です。
5-2. 漢方薬、生薬関連団体のホームページ
- 日本臨床漢方医会
一般向けに以下のような情報が掲載されています。
「漢方とは」:「漢方の基礎知識」(漢方理論などを概説)、「処方」(各診療科での処方を解説)などのコンテンツがあります。
「漢方Q&A」:漢方薬に関する様々な質問と回答が掲載されています。
「漢方医の検索」:全国の漢方医(同会の会員のみ)および漢方クリニックを検索できます。 - 日本漢方生薬製剤協会
「漢方薬を知る」の各コンテンツでは一般向けの情報(漢方医学および漢方薬の概略を解説する「漢方の解説」など)を掲載しています。
「漢方・生薬情報」の各コンテンツでは医療関係者向けの情報(各生薬の写真と解説を掲載する「生薬一覧」、薬剤師による漢方薬の説明用の資料(英語・中国語)を提供する「OTCインフォメーションシート」など)を掲載しています。 - 日本東洋医学会
以下のような情報が掲載されています。
「専門医検索」:全国の漢方専門医を検索できます。
「漢方の診察」:一般向け。漢方の基本概念や治療の特徴を解説しています。
「漢方製剤の記載を含む診療ガイドライン 2019 KCPG2019」:医療関係者向け。日本の診療ガイドラインから漢方製剤に関する記述を引用した資料を提供しています。