生産性向上対策

昭和29年9月24日 閣議決定

収載資料:商工政策史 第10巻 通商産業省編 商工政策史刊行会 1972.3 pp.291-292 当館請求記号:509.1-Tu783s

わが国産業の総合生産の向上をはかることは、コストの引下げ、品質の向上を可能にし、輸出を振興させ、ひいては国民所得の増加をもたらす現下喫緊の課題である。
ところで、英、仏を始めとする欧州十五ヶ国においては、すでに数年前から、それぞれ、このような生産性向上運動実施の中核機関として「生産性センター」が設けられ、当該政府の補助、および米国対外活動本部(FOA)の援助を受け、活発な活動を行い、大きな成果をおさめている。
たまたまわが国においても、民間において、このような機関として「日本生産性本部」設立の機運が熟したのにかんがみ、その活動について欧州諸国同様、米国FOAの援助を受ける必要があり、そのため日米両国政府間においてとるべき必要な措置について検討を開始し、また「日本生産性本部」の活動に対応して、日本生産性連絡会議を設置する等、左記により、政府として必要な諸措置をとることとしたい。
1 米国FOAから援助を受けるための協定締結等の措置
日本生産性本部の事業のうち、海外視察団の派遣、海外専門家の招へい、技術文献、技術情報、技術映画等の受入等に関し、米国FOA等の援助(経費の外貨分負担、余剰農産物見返円の贈与を含む)を受けるために必要な措置について、すみやかに検討を開始し、必要に応じ、覚書の交換、協定の締結等の措置を講ずる。
2 日本生産性本部に対する政府の助成
日本生産性本部の行う事業活動は、輸出産業を中心として、大企業のみならず、広く中小企業の生産性向上をはかり、また生産性向上のための国民運動を実施しようとするものである。したがって、その活動に必要な経費等については、寄附金、事業収入、米国FOAからの援助に期待するほか、必要に応じ適切な助成措置を講ずるものとする。
3 日本生産性連絡会議の設置
日本生産性本部の事業活動に関し、政府と同本部との連絡調整をはかるために、日本生産性連絡会議を設ける。
連絡会議は、関係各省の事務次官および日本生産性本部の代表者若干名をもって構成する。
日本生産性本部は、連絡会議の決定した方針に基いて、実際の活動を行うものとする。
連絡会議の庶務は、日本生産性本部が行う。