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このページは、令和6年度企画展示「ひろげて、まいて、あらわれる 絵巻の世界」の電子版です。

第1章 絵巻で楽しむ物語

絵入りの巻子本には、行事の記録や図鑑のようなものもあるが、主流はなんといっても、物語を絵と詞書ことばがきで語る、ストーリー性を持つ絵巻であろう。
平安時代の貴族社会では、物語や物語絵の鑑賞が流行した。そうした時代を背景に、王朝を舞台とする絵巻や、説話・伝承を題材とする絵巻が生まれ、やがて時代の移り変わりとともに合戦絵巻や寺社縁起絵巻、御伽草子を題材とする絵巻などへと展開する。
右から左へと途切れなく流れていく画面や詞書に時の推移を感じ、臨場感や迫力を感じ、多くの人々が絵巻ならではの世界に魅了された。人気のある絵巻は写されて広がり、受け継がれていく。当館で所蔵している絵巻の多くは、そうして伝えられてきた近世以降の写し(模本)である。貴公子、姫君、高僧、庶民など様々な登場人物が紡ぐ物語を、絵巻に心躍らせ、写し、伝えてきた人々の気持ちに思いをはせながらお楽しみいただきたい。

第2章 模写された絵巻のみどころ

第2章では、物語の内容にとどまらない絵巻の魅力をご紹介する。
まずは、模本の面白さ。国立国会図書館の絵巻の多くは、元となる絵巻を模写した模本である。複製ではあるが、原本が焼失・欠損して模本しか残っていなかったり、原本にない作者名や由来等が書き込まれたりと、模本からは様々な情報を読み取ることができる。独自の絵や物語が追加されたり、複数の系統(絵や物語の差異によるグルーピング)が入り交ざったりして、他の模本にはない部分が存在することもある。展示した資料それぞれが、貴重な「1点もの」の資料である。
また、絵巻ならではの魅力を楽しんでいただくため、「異界・異類」を題材とする絵巻も展示した。横長の長大な画面に描かれた妖怪の行列や、現世との境界を越えて異界と接触したり、擬人化された動物が次々現れたりするひと続きの場面など、冊子体では描けない時空を超えた表現を見ることができる。
「絵と物語」にとどまらない視点からも、絵巻の世界をお楽しみいただきたい。

電子版について

  • このページは、令和6年10月から11月にかけて東京本館・関西館にて開催した令和6年度企画展示「ひろげて、まいて、あらわれる 絵巻の世界」の電子版です。
  • 企画展示で実際に絵巻をひろげる箇所の画像を使って、資料を紹介しています。
  • 画像は国立国会図書館デジタルコレクションの画像を合成したものです。画像をクリックすることで部分的に拡大し、また、リンクからデジタルコレクションに遷移できます。

おことわり

  • 本展示における「原本」という語については、原則、写しの系統の元となった絵巻を指しています。
  • 原本の成立時期については、日本古典文学大辞典、国書データベース等を参考にしています。

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