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著者の没年を調べる

著者の没年は、著作権の保護期間を調べる際などに必要となります。ここでは、その調べ方を紹介します。
書誌事項末尾の【  】内は当館請求記号です。

1. 注意すべきポイント

近年では国立国会図書館デジタルコレクションの多くの資料や次世代デジタルライブラリーなど資料の全文検索が可能な例が増えており、著者の没年を調べるうえでも有用です。ただし以下の点で注意が必要です。

1-1. 別名と表記ゆれ

調べている著者によっては、よりよく知られた本名や別名が存在し、それらを調べたほうが簡単に判明する場合があります。別名の調べ方についてはリサーチ・ナビ「別名を調べる」を参照してください。また、旧字体と新字体をはじめ表記が一定しないことがあり、特に全文検索などでは検索できない原因となりえます。

1-2. 名前の登場パターン

著者名が本に登場するとき、苗字‐名前のフルネームでは記載されていないかもしれません。例えば家族として記述されているときは「兄~~」など下の名前だけのことがあります。全文検索などではキーワードを工夫する必要があります。

1-3. 同名異人の判別

ただ名前が検索で見つかるだけでは同名異人の可能性は捨てきれません。著作の情報や背景(ゆかりの地域・活動分野・家族など)となる情報、生年など複数の手がかりが必要となります。

2. 蔵書検索で調べる

図書館の蔵書検索やオンライン蔵書目録では、表示される資料の書誌情報の「著者標目」(例:「夏目, 漱石, 1867-1916」)に、著者の没年の情報が含まれている場合があります。

  • 国立国会図書館サーチ
    資料ごとの書誌詳細画面中の「著者標目」を参照してください。著者の生没年が記載されていることがあります。

  • Web NDL Authorities(国立国会図書館典拠データ検索・提供サービス)
    上記国立国会図書館サーチなどの著者標目に表示される典拠データを著者名から検索することができます。ただし雑誌論文しか著作が無い場合などは典拠データが存在しません。「出典」欄には根拠となる文献も記載されています。

  • VIAF(バーチャル国際典拠ファイル)外部サイト(OCLC)
    Web NDL Authoritiesを含め、アメリカ議会図書館や英国図書館など世界各国の典拠データを横断検索できます。日本で著作が出版されていない人物の生没年を調べる場合に利用できます。

3. 著作を調べる

著作そのものの奥付・序文・後書き・解題・解説などに著者の生没年が記載されている可能性があります。また、過去に出版された本の復刻版では、解題・解説等に調査の結果明らかになった著者の情報が記載されていることもあります。

4. 新聞記事・雑誌記事を調べる

4-1. 新聞記事

新聞記事の調べ方についてはリサーチ・ナビ「新聞」「新聞記事データベースの使い方」を参照してください。なお、データベースを検索する場合は収録範囲(年代・紙面など)や検索対象(見出し・全文)に注意してください。

訃報・追悼記事

没年が分かる記事として訃報があります。死去からまもなく掲載されるのが通例ですが、事情により掲載が遅れる場合もあります。また、より対象が限られますが追悼記事・追悼文が掲載されることもあり、没年を知る手がかりとなります。
記事データベースで調べる際は著者の姓名を検索してください。また、追悼記事の索引として下記の資料があります。

叙位

公務員など一部の人物には戦後は死去時に位階が与えられており、これを伝える記事により没年を知ることができます。記事データベースで全文検索できる場合は著者の姓名で検索するのが簡単です。叙位は官報で公示されるため官報等を調べることでも分かりますが、新聞記事では肩書等の情報も掲載されることが多く同名異人の判別に役立ちます。ただし、叙位記事の多くは地域面に掲載されているため記事データベースで検索できないことがあります。その場合は官報等の情報を組み合わせて原紙を調べることで効率よく探すことができます。官報の調べ方についてはリサーチ・ナビ「官報(法令情報)の調べ方」も参照してください。

その他

一般記事でも没年が分かる場合があります。訃報記事・追悼文も含めた人名記事の総索引として以下のものがあります。

  • 『朝日新聞人名総索引』1-5巻(日本図書センター 2004 【UP58-H1ほか】)
    大正元(1912)年7月~平成4(1992)年12月の朝日新聞記事の人名索引です。

4-2. 雑誌記事

雑誌記事の調べ方についてはリサーチ・ナビ「記事・論文の探し方」「雑誌記事索引」「雑誌の総目次を探す」等も参照してください。
雑誌でも訃報や追悼記事が掲載されている場合があります。追悼記事の一部は下記資料で調べることができます。

この他、学会誌や機関誌などでは会報・彙報や会員消息、訃報欄といった形で掲載されていることがあります。著者が会員の場合やよく寄稿していた場合などには掲載されることが多いです。この場合は目次や記事索引などに姓名が採録されていないことが多く、全文検索が有効な手段となります。

なお、J-STAGE外部サイトでは多くの学会誌を全文検索することができますが、会報部分を掲載していない例もあり注意が必要です。

5. 物故人名事典を調べる

物故人名事典は没年の調査に特化した人名事典です。多くは新聞・雑誌記事を主要な情報源としています。

  • 『CD現代日本人名録 : 物故者編. 1901-2000』(日外アソシエーツ 2001 【YH231-1467】)
    20世紀中に死亡した日本人約97,000人の人物情報を収録しています。姓名のヨミ、出身地等による検索も可能です。

  • 『現代物故者事典』(日外アソシエーツ 1983-)
    1980年代以降に死亡した日本人の人物情報を収録しています。

  • 大植四郎 編著『明治過去帳 : 物故人名辞典』 (新訂 東京美術 1988 【GB13-E19】)
    明治時代の新聞、官報、各地の墓石の記載をもとに、明治時代の物故者の事跡を記しています。約21,000名が収録されています。

  • 稲村徹元, 井門寛, 丸山信 共編『大正過去帳 : 物故人名辞典』(東京美術 1973 【GB13-30】)
    新聞報道をもとに、大正時代の物故者の事跡を記しています。姓名から調べる場合は目次の後にある索引で検索します。約4,000名が収録されています。

  • 『人物物故大年表. 日本人編 1(古代-1945)』(日外アソシエーツ 2005 【GK2-H15】)
    古代~1945年に死亡した日本人や日本に帰化した人物、日本と関係の深い人物など、約55,000人を収録しています。本文は没年月日順になっており、巻末には人名索引があります。

  • 『人物物故大年表. 日本人編 2(1946-2004)』(日外アソシエーツ 2006 【GK2-H16】)
    1946年~2004年に死亡した日本人、日本に帰化した人物、日本と関係の深い人物など約56,000人を収録しています。本文は没年月日順になっており、巻末には人名索引があります。

  • 『人物物故大年表 外国人編 1(古代-19世紀)』(日外アソシエーツ 2006 【GK2-H19】)
    古代~19世紀までに死亡した外国人約30,000人を収録しています。本文は没年月日順になっており、巻末には人名索引があります。

  • 『人物物故大年表 外国人編 2(20世紀以降)』(日外アソシエーツ 2006 【GK2-H20】)
    20世紀に死亡した外国人約40,000人を収録しています。本文は没年月日順になっており、巻末には人名索引があります。

6. 著者について書かれた文献・データベースを調べる

文献一般の調べ方についてはリサーチ・ナビ「人物文献(伝記など)を探す」を参照してください。またリサーチ・ナビ「先祖・ルーツを調べる」では分野別・時代別の人物のリサーチ・ナビを一覧にしています。

人物事典等の分野横断的な索引として以下の資料があります。

人物を調べるためのデータベースは人文リンク集>人物・肖像にまとめられています。特に人物から掲載文献を探すデータベースとして以下のものがあります。

著作や文献などから著者の背景が分かれば下記の観点で調べることもできます。

6-1. 出身地・活動地域

著者の出身地や活動地域を対象とする人名辞典や歴史事典などに情報が掲載されていることがあります。下記事典は地方人名事典・百科事典に掲載された人物の索引です。

また、自治体史誌でも出身・ゆかりの人物について記載されているものがあります。人物編として独立した章や巻になっているものもありますが、史誌全体に記載されていることもあります。特に文化・芸術関係者は人物編とは別に文化・芸術関係の箇所で記述されていることが多いです。地域の人物についてはリサーチ・ナビ「人物文献(伝記など)を探す」>「1. 人物書誌」>「1-3. 地域別」を、地方史に関する文献についてはリサーチ・ナビ「地方史に関する文献を探すには(主題書誌)」を、自治体史誌についてはリサーチ・ナビ「自治体史を探す」をそれぞれ参照してください。
この他、都道府県別に刊行される年鑑類でも前年の物故者を紹介しているものがあります。

6-2. 活動分野

活動した分野別の人名事典・百科事典類や年鑑類に掲載されていることがあります。人名事典等の参考図書を探す際には上記「人物文献(伝記など)を探す」の他、参考図書紹介や上記日本人名情報索引(人文分野)を利用すると見つけやすいです。また、所属した会社や団体の周年史や年表類に情報が載っている例もあります。社史・団体史の調べ方についてはリサーチ・ナビ「社史について調べる」を参照してください。

芸術家の場合は作品が出品された展覧会の図録・カタログに略歴が掲載されていることがあります。展覧会図録についてはリサーチ・ナビ「展覧会図録・カタログ(展観目録)を探す」を参照してください。日本人名情報索引(人文分野)でも一部の図録を検索できます。

6-3. 家族・家系

家族や近親に著名な人物がいる場合、その人物を扱った文献に情報がある例があります。また、旧華族など著名な家系の場合は系図に情報があることも少なくありません。リサーチ・ナビ「系図を調べる」を参照してください。

7. 著作権者の連絡先を調べるツールを使う

著作権継承者の連絡先のほか、著者の没年月日や著作権保護期間の満了した作家一覧などが掲載されています。

  • 『文化人名録』(日本著作権評議会ほか 【GB13-G12ほか】)
    ※別書名:『著作権台帳』
    現在、下記の版で刊行が終了しています。
    冊子体:第26版(2001 【GB13-G12】)
    CD-ROM版:2002年版(2002 【YH231-2516】)
    著作、略歴、著作権者の連絡先などが記載されています。最新の情報ではない可能性があります。

  • 日本文芸家協会 編『文芸年鑑』(新潮社 年刊 【Z42-41】)
    巻末に「文化各界名簿」、「著作権継承者名簿」が収録されています。

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