関東大震災の被災状況がわかる地図
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1923年(大正12年)に起きた関東大震災の被災状況がわかる地図を紹介します。
なお、当時は必ずしも「関東大震災」と呼ばれていたわけではないので、 国立国会図書館サーチで関連資料を検索する際はいくつかの文言をお試しください。 (例)「帝都大震(災)」、「大正大震(災)」、「東京大震(災)」など
1. 当館所蔵資料
1-1.デジタル化資料
当館所蔵資料のうち、デジタル化しているものには以下があります。
- 『震災予防調査会報告. 第100号』(震災予防調査会, 大正2-15.【YD5-H-14.4-115】)(国立国会図書館デジタルコレクション:図書館・個人送信、館内限定を含む)
第100号(甲~戊)が関東大震災を扱っており、地図も収録されています。各巻の収録記事タイトルについては国立国会図書館サーチの「内容細目」をご覧ください。 - 『関東大震災情況全図 : 海陸実地踏査』(震災調査会, 大正12.【YG13-Z-663】)(国立国会図書館デジタルコレクション)
地図とともに、死傷者数、家屋倒壊・焼失数等も掲載されています。 - 『帝都大震火災系統地図 解説索引付』(大阪毎日新聞社[ほか], 大正12.【YG13-Z-633】)(国立国会図書館デジタルコレクション)
火災に焦点をあわせた地図です。火元、延焼方向のほか、地震発生前後の風速や風向も掲載されています。 - 『東京市火災動態地圖 大正十二年九月大震災』(文部省震災豫防調査會, 1924.9【YG13-Z-681】)(国立国会図書館デジタルコレクション)
火災による消失区域、延焼方向が掲載されています。カラー画像はTOKYOアーカイブ(東京都立中央図書館)で閲覧できます。 - 『震災焼失区域明細東京市全図』(東京情報社, 大正12.【YG13-Z-683】)(国立国会図書館デジタルコレクション)
地図とともに、罹災した主な建造物、焼失町名一覧、全潰・半潰戸数、焼失戸数、死者数等も掲載されています。また、写真も載っています。 - 『東京市震災燒失地域図』([縮尺表示なし]. 文正社, 1923.9.【YG18-D-103】)(国立国会図書館デジタルコレクション:館内限定)
罹災官庁の仮事務所設置場所についての記載があります。 - 『震災地附近地形及水深変化調査図』(水路部, 大正12.【YG4-Z-M-3317】)(国立国会図書館デジタルコレクション)
- 『大正震災写真集 : 大正十二年九月』(偕行社, 1924.【369.31-Ka481t】)(国立国会図書館デジタルコレクション)
タイトルのとおり写真が主ですが、一部に地図も掲載されています。 - 『大正震災志. 附図』(内務省社会局, 大正15.【YD5-H-526-96イ】)(国立国会図書館デジタルコレクション)
『大正震災志』(上下)の附図として、以下が収録されています。
①東京市震火災延焼状況図
②東京市震火災発火地点及焼失区域図
③消防隊活動経路
④東京府管内震災被害図
⑤横浜市震火災延焼状況図
⑥神奈川県管内震災被害図
⑦千葉県管内震災被害図
⑧静岡県管内震災被害図
⑨埼玉県管内震災被害図
⑩山梨県管内震災被害図
⑪林野被害区域(山崩地帯)概況図
⑫東京市附近食糧配給所位置要図
⑬地盤垂直変動一覧図
⑭大震災後相模灘附近水深変化調査図
⑮関東戒厳地域内警備配置要図
⑯関東戒厳地域内警備部隊配置要図(九月中旬)
⑰関東戒厳地域内警備部隊配置要図(十月十日)
⑱関東震災地域内憲兵配置要図(十月十五日)
⑲関東戒厳地域内警備部隊配置要図(十月二十日)
⑳東京復興計画一般図
1-2. 非デジタル化資料
以下の資料はデジタル化していませんが、東京本館地図室で閲覧可能です。
- 『關東大震災圖 : 東京横濱罹災地圖詳報』(縮尺決定不能. 大阪日報社, 1923.9【YG35-Z-846】)
「大阪日報 第1455號」(大正12年9月13日刊) の附録で、罹災焼失区域が赤で記載されています。また、分図として「横濱市街之圖」が記載されています。裏面に各区の被災状況の記事と、主な被害建物の写真があります。 - 『大正十二年九月一日震災東京附近ニ於ケル木造建物被害分布圖 東京地圖』(1:20000. 東京紙器, [1923]【YG35-Z-221】)
倒壊状況を数値で示した表が掲載されています。 - 『東京市大地震大火災圖』([縮尺表示なし]. 太陽堂, 1923.9.【YG18-F-52】)
地域ごとの被災状況、焼失建造物、警察署の所管ごとの焼死者数等についての記載があります。 - 『震災燒失區域明細東亰・横濱市全圖』([縮尺表示なし]. 風間鉄太郎 : 松枝商店 (發賣), 1923.10.【YG13-Z-593】)
焼失町名一覧、焼失主要建物、消失家屋数、全潰家屋数、半潰家屋数、死者、傷者、行方不明者、区別の被災状況等についての記載があります。 - 『東京大震火災地圖 大正十二年』(1:20000. 丸之内新聞社, 1923.10.【YG18-K-4】)
地番の記載があります。また、分図として「横濱大震災火災地圖」、「最激震區域圖」が掲載されています。 - 『關東震災全地域鳥瞰圖繪』([縮尺表示なし]. [大阪朝日新聞社], 1924.9.【YG18-K-44】)
鳥瞰図。東京、神奈川、千葉を中心に、埼玉や静岡も描かれています。 - 『帝都大震火災系統地圖 Map of the fire of Tokyo : 大正十二年九月』(1:10000. 東京都歴史文化財団, [20--]【YG41-Z-433】)
大正12年12月発行の複製。火元、延焼方向等が記載されています。また、分図として「東京大震火災總覧圖」等が記載されています。
以下の資料は被災直後に作成されたと推測される実務的な地図です。救護所・食糧配給所の設置場所、警備体制、交通状況等が記載されています。いずれも被災状況を端的に示すものではありませんが、間接的に被害の甚大さを伝えています。
- 『東京市附近救護及食糧配給所位置要圖』(1:50000. [関東戒厳司令部], [192-]【YG35-Z-572】)
- 『東京市附近警戒救護食糧品配給所位置要圖』(1:50000. 關東戒嚴司令部情報部, [192-]【YG35-Z-575】)
- 『横濱市交通整備要圖』(1:25000. 神奈川警備隊司令部, [192-]【YG35-Z-574】)
- 『横濱市警官配置要圖』(1:25000. 神奈川警備隊司令部, [192-]【YG35-Z-577】)
- 『横須賀市罹災要圖』([縮尺表示なし]. 関東戒厳司令部, [192-]【YG35-Z-573】)
- 『關東戒嚴地域内警備配置要圖』(1:350000. 關東戒嚴司令部情報部, [192-]【YG35-Z-576】)
東京を中心に、埼玉、神奈川、千葉が収録範囲です。 - 『東京近縣震害情況概見圖』(1:350000. 關東戒嚴司令部情報部, [192-]【YG35-Z-578】)
東京も記載されていますが、それ以外の県(埼玉、神奈川、千葉、静岡、山梨)に重点が置かれています。 - 『伊豆竝足柄上(下)地方交通網状態要圖』(1:200000. 關東戒嚴司令部, [192-]【YG35-Z-580】)
神奈川、静岡が収録範囲です。
なお、被災直後に参謀本部陸地測量部が作成した『震災地応急測図原図』は当館に所蔵がありません。当該資料は国土地理院が所蔵しており、古地図コレクション内のカテゴリー「関東大震災関連図」に図の一覧と解説が掲載されています。また、日本地図センターで購入することもできます。
1-3. 地図室開架の図書
地図室に開架された以下の図書には被災状況をあらわした地図の複製が収録されています。一部デジタル化している資料があります。
- 『新宿区地図集 : 地図で見る新宿区の移り変わり』([東京都]新宿区教育委員会, 1979.3.【G67-23】)(国立国会図書館デジタルコレクション:図書館・個人送信)
pp.52-53「帝都大震火災系統地図」 - 『中央区沿革図集. 月島篇』(東京都中央区立京橋図書館, 1994.3.【YP6-131】)(国立国会図書館デジタルコレクション:図書館・個人送信)
p.62「帝都大震火災系統図」 - 『中央区沿革図集. 日本橋篇』(東京都中央区立京橋図書館, 1995.3.【YP6-131】)(国立国会図書館デジタルコレクション:図書館・個人送信)
p.202「震火災火流方向図」
p.203「大正十二年九月一日震火災延焼時刻略図」 - 『中央区沿革図集. 京橋篇』(東京都中央区立京橋図書館, 1996.3.【YP6-131】)(国立国会図書館デジタルコレクション:図書館・個人送信)
pp.218-219「大正十二年九月一日大震後相模灘附近水深変化図」
p.220「震火災火流図」 - 『地図にみる関東大震災 : 関東大震災の真実』(日本地図センター, 2013.9.【ME75-L33】)
被害状況や応急対応に関する地図を大小合わせて51枚掲載しています。
2.関連サイト
関東大震災に関する地図を公開しているウェブサイトがあります。下記は一例です。
- 『災害教訓の継承に関する専門調査会報告書 平成18年7月』(内閣府)
内閣府中央防災会議に設置された「災害教訓の継承に関する専門調査会」の第二期における報告書のひとつです。口絵・本文中に多数の地図が収録され、また、付図として『震災地応急測図』の画像も公開されています。