第1章 国立国会図書館総合目録ネットワークについて
1 国立国会図書館総合目録ネットワークとは
「国立国会図書館総合目録ネットワーク」は、県域を越えた、全国規模の公共図書館の総合目録ネットワークです。全国の都道府県立図書館及び政令指定都市立図書館の協力のもと、それぞれの図書館が所蔵する書誌・所在データ(以下、「書誌データ」という。)の提供を受けて、総合目録データベースを構築しています。
(1)国立国会図書館と総合目録について
国立国会図書館は、「国会法」(昭和22年法律第79号)第130条に基づき、国会に置かれている図書館であり、「国立国会図書館法」(昭和23年法律第5号)をその設置法としています。
「国立国会図書館法」第21条では、総合目録について次のように定められています。
「国立国会図書館法」 第21条 第1項 第4号
日本の図書館資料資源に関する総合目録並びに全国の図書館資料資源の連係ある使用を実現するために必要な他の目録及び一覧表の作成のために、あらゆる方策を講ずる。
国立国会図書館では、この条文に基づき、図書館協力事業の一環として、国内の公共図書館における図書館資料資源の共有化、書誌サービスの標準化と効率的利用を図るとともに、公共図書館の県域を越える全国的な相互貸借等を支援することを主な目的とし、国立国会図書館総合目録ネットワーク事業を実施しています。
(2)国立国会図書館と国立国会図書館総合目録ネットワーク事業について
国立国会図書館総合目録ネットワーク事業の前身は、平成5年度に実施した「国立国会図書館 総合目録ネットワーク・パイロットプロジェクト実験」です。平成6年度からは「パイロット電子図書館プロジェクト「電子図書館実証実験」」として、国立国会図書館とIPA(現情報処理推進機構)との共同事業として進められました。
平成10年度には、国立国会図書館がパイロットプロジェクトを継承し、「国立国会図書館総合目録ネットワーク事業」(以下、「本事業」という。)として事業化しました。平成13年度には、本事業への参加対象とする図書館を、市区町村立図書館まで拡大し、また、平成16年4月にはシステムを切り替えました。平成24年1月には、国立国会図書館サーチ(以下、「NDLサーチ」という。)へシステムを統合し、現在に至っています。
システムの構築及びデータベースの維持管理は国立国会図書館が行っていますが、運営方針等の検討については、本事業に参加する図書館(以下、「参加館」という。)の協力を得て行っています。
また、公共図書館の多くが書誌データの作成にあたり、民間MARCのデータを購入し使用している状況にあるため、データの使用に関しては、民間MARC各社に対しても協力を依頼しています。
○「国立国会図書館総合目録ネットワーク事業」の内容と解説
「国立国会図書館総合目録ネットワーク事業実施要項」2事業内容 を抜粋
(1)本事業の目的を達成するために当館は、本事業に参加する図書館(以下「参加館」という。)の書誌データ及び所在データ(以下「書誌データ」という。)を収集し、当館が構築する国立国会図書館サーチ(以下「NDLサーチ」という。)に当該書誌データを統合し、データベース及びネットワークの運用及び維持管理を行う。
(2)書誌データを提供する図書館は、参加館のうち、都道府県立図書館及び政令指定都市立図書館とする。
(3)NDLサーチにおいて、次の各号に掲げるサービスを提供する。
①検索サービス
参加館から収集した書誌データ及び当館書誌データ並びに都道府県域横断検索等との統合検索を可能とする。
②相互貸借支援サービス
収集した書誌データについて、参加館間における相互貸借依頼を支援する機能を提供する。
(4)検索サービスは、一般に公開する。
(5)県域を越える図書館相互貸借の円滑な実施に資するため、参加館のうち都道府県立図書館及び政令指定都市立図書館の相互貸借情報(貸出規則等)をNDLサーチに収録の上、参照可能とする。
(6)事業の円滑な運営に資するため、各種会議、研修等を実施する。
(3)参加館について
本事業に参加する図書館を参加館と呼びます。参加資格を有するのは、公共図書館又はこれに準ずる機関です。参加館になるためには、国立国会図書館長に対し参加申請を行い、承認を受ける必要があります。
(4)データ提供館について
参加館のうち、自館の書誌データを提供している図書館をデータ提供館と呼びます。データ提供館の範囲は、都道府県立図書館及び政令指定都市立図書館ですが、一部、データ提供を行っていない図書館もあります。
2 NDLサーチの総合目録機能について
NDLサーチとは、国立国会図書館内外のデータベースを統合的に検索することのできるデータベース・システムのことです。
(1)事業の愛称「ゆにかねっと」について
平成16年度から、国立国会図書館総合目録ネットワークシステムの愛称として「ゆにかねっと」を使用してきました。これは、総合目録ネットワークの英訳(UNIon CAtalog NETwork)から名付けたもので、平成15年度に参加館にご協力いただき決定したものです。平成23年度のNDLサーチへのシステム移行後は、本事業の愛称として使用しています。
(2)NDLサーチの総合目録機能について
総合目録機能は大きく4つの機能で構築されています。
①データベースを作成・管理する機能
データ提供館から送信された書誌データをデータベース上に自動登録し、機械的な同定処理や、更新処理を行う機能です。
②検索機能
データベースに収録されている書誌データを検索する機能です。
③相互貸借支援機能
検索の結果、所蔵情報が得られた資料について、他館に相互貸借を依頼する際の業務を支援するために、次のような機能があります。
- 相互貸借情報(貸出規則等)の参照
- 相互貸借依頼票(電子メール)の送信
- 相互貸借依頼票(FAX)の印刷用書式の表示
④システム利用に関する管理機能
参加館が、自館の基本情報や相互貸借に関する情報を登録・修正する機能などがあります。
(3)総合目録データベースの特徴について
①総合目録データベースのあらまし
NDLサーチ内の総合目録データベースは、国立国会図書館及びデータ提供館の書誌データで構成されています。また、データ提供館の相互貸借情報(貸出規則など)も収録しており、参照することができます。
各データ提供館から提供された書誌データを、1つのデータベース内で機械的に同定処理を行っている関係上、このデータベースにはいくつかの特徴がありますので、ご理解のうえ、ご活用ください。
②データを提供している図書館
データ提供館の範囲は都道府県立図書館及び政令指定都市立図書館ですが、一部、データ提供を行っていない図書館もあるため、全てのデータが収録されているわけではありません。システムにデータを提供していない図書館の所蔵は、各館がホームページ上で公開している蔵書検索システムや各種の蔵書目録等で確認してください。
③都道府県立図書館及び政令指定都市立図書館の書誌データ
都道府県立図書館及び政令指定都市立図書館の各図書館が所蔵する資料のうち、主に和図書として整理・区分している資料の書誌データを収録対象としています。ただし、全ての都道府県立図書館及び政令指定都市立図書館の書誌データを収録している訳ではありませんのでご留意ください。
- 「和図書」の範囲
- 本事業では「和図書」の範囲について統一した基準を定めていません。和図書かどうかの判断は各データ提供館の整理区分・基準によります。
例えば、年鑑などが、ある図書館で和図書扱いになっている一方、別の図書館では逐次刊行物(雑誌)扱いとなっている場合、両館で同じ資料を所蔵しているにもかかわらず、総合目録データベースには収録されていたり、されていなかったりします。
(例)『図書館年鑑』
- 山梨県立図書館:和図書扱い(総合目録データベース収録)
- 東京都立中央図書館:逐次刊行物扱い(総合目録データベース未収録)
④書誌データ・フォーマット
データ提供館(都道府県立図書館及び政令指定都市立図書館)の書誌データは、DC-NDLに変換したうえで、総合目録データベースに送付・収録されています。DC-NDLとは、国立国会図書館がDublin Core(ダブリン・コア、略称DC)に準拠して定めたメタデータ記述要素です。DC-NDLについての詳細は「国立国会図書館ダブリンコアメタデータ記述(DC-NDL)」のページをご参照下さい。なお、総合目録共通フォーマットでデータを提供いただいた場合、NDLサーチではDC-NDLに変換して登録しています。
⑤機械的な同定処理による統合
NDLサーチでは、集中型のデータベースを構築しています。各データ提供館から送信された書誌データは、機械的に同定処理を行い、統合しています。人の目による確認は行いません。
各データ提供館で採用している目録規則が異なる場合、同じ資料であっても書誌記述が異なることから、同定されない場合もあります。
(例)日本目録規則(NCR)新版予備版と87年版改訂版
- 新版予備版では資料に記載された最新の発行年を記述。
- 87年版では当該資料の属する版の初刷りの発行年を記述。