第4章 相互貸借の依頼
1 相互貸借支援機能と参加館の相互貸借業務について
国立国会図書館総合目録ネットワーク事業では、参加館間の資料の相互貸借に関して、統一した運用方法を定めていません。この理由は、参加館(公共図書館)間の相互貸借は「公共図書館間資料相互貸借指針」(全国公共図書館協議会策定)に沿って実施されるものと認識しているからです。
したがって、国立国会図書館サーチの相互貸借支援機能は、同指針を前提として実施される相互貸借業務を支援するためのツールという位置付けにあります。参加館間の相互貸借業務が円滑に遂行されるよう、本機能をご活用ください。
2 相互貸借のルールとマナー
データ提供館は、他の多くの図書館からの貸出依頼に対応しています。また、その具体的な手続や方法は、各館でそれぞれ定めています。相互貸借は図書館相互の信頼関係の上に成り立つ業務であり、遵守すべきマナーがあります。相互貸借を依頼する際は、依頼先の図書館で資料の貸出しに係る手続や作業が円滑に行えるようご留意ください。
なお、国立国会図書館総合目録ネットワーク事業では、相互貸借における一般的なマナーについて次の9つのポイントを挙げています。
(1)相互貸借依頼の基本原則
(2)依頼手続を確認する
(3)貸出条件を守る
(4)到着した資料の状態をチェックする
(5)資料の取扱いに注意する
(6)資料を紛失・破損したら速やかに連絡する
(7)借受館での複写は法や取決めを厳守して行う
(8)返却期限を厳守する
(9)返却方法は貸出館の指示に従う
(1)相互貸借依頼の基本原則
「まず近くの図書館から」
まずはお近くの図書館に依頼してください。依頼にあたっての順序は次のとおりです。
①都道府県域内 → ②所属地区内の図書館 → ③他地区の図書館 → ④国立国会図書館
※上記は、相互貸借の利用についての重要なガイドラインである、「公共図書館間資料相互貸借指針(全国公共図書館協議会)(PDF: 148KB)」に沿っています。以下は、相互貸借依頼の基本原則に関わる条文の当該部分を抜粋したものです。なお、同指針の全文についても、この機会にご確認ください。
「公共図書館間資料相互貸借指針」(全国公共図書館協議会) 第4条 2
この指針に基づく相互貸借資料の範囲は、他の適用館から借受けをしようとする資料が、自館又は自館が属する都道府県内若しくは地区内の他の公共図書館において、原則として未所蔵の場合のみとする。
※同条文中の「地区」とは、全国公共図書館協議会規約別紙三「地区協議会都道府県協議会通則」第2条第2項に基づく地区協議会名を指します。
地区協議会名 | 都道府県名 |
---|---|
北日本 | 北海道・青森・岩手・宮城・秋田・山形・福島 |
関東 | 茨城・栃木・群馬・埼玉・千葉・東京・神奈川・新潟・山梨・長野・静岡 |
東海・北陸 | 富山・石川・福井・岐阜・愛知・三重 |
近畿 | 滋賀・京都・大阪・兵庫・奈良・和歌山 |
中国 | 鳥取・島根・岡山・広島・山口 |
四国 | 徳島・香川・愛媛・高知 |
九州 | 福岡・佐賀・長崎・熊本・大分・宮崎・鹿児島・沖縄 |
貸出依頼資料の留意点
資料の貸出依頼の際は、相互貸借情報で、貸出対象となっているか十分に確認してください。貸出館では、その間、自館の利用者に対して資料を提供できなくなります。この点を常に意識してください。
依頼ごとに基本原則の確認を
貸出依頼を行う資料が複数あるときも、1件ずつ、基本原則の確認を行ってください。貸出館側からみると、本当に近隣の図書館で未所蔵なのか、疑わしいケースがあるそうです。繰り返しになりますが、相互貸借は、図書館相互の信頼関係の上に成り立つ業務です。参加館相互の信頼関係を築き上げるためには、基本的なことを一歩一歩積み上げていくことが重要です。
国立国会図書館所蔵資料の各種図書館への貸出について
国立国会図書館は、我が国の唯一の納本図書館・保存図書館であり、所蔵する資料を、我が国の文化財として後世に遺すという使命を負っています。国立国会図書館の「保存図書館」としての性格をご理解ください。国立国会図書館の資料は、図書館間貸出制度に基づき、各種図書館への貸出を行っています。利用にあたっては、図書館間貸出制度への加入が必要です。
※図書館間貸出制度については、国立国会図書館から各図書館に別途配布している『図書館協力ハンドブック』をご参照ください。
なお、国立国会図書館ホームページの「図書館間貸出し」のページにも関連情報を掲載しています。
国立国会図書館所蔵資料の貸出依頼について
国立国会図書館東京本館及び関西館所蔵資料の貸出依頼については、国立国会図書館サーチのヘルプ(6B. 申込方法(機関))をご覧ください。
(2)依頼手続を確認する
依頼方法・様式等の確認
公共図書館のサービスは、「図書館法」(昭和25年法律第118号)第3条にあるように、各図書館の所在する土地の事情を大きく反映しています。資料の利用方法については、図書館ごとに依頼の方法、様式、貸出制限の有無、依頼の受付先などが異なっているとお考えください。貸出依頼を行う場合は、貸出館の条件を理解し、依頼内容についても十分に確認する必要があります。
本事業では、参加館間の相互貸借に関して、統一した運用方法を定めていません。貸出の依頼方法や様式等は図書館ごとに異なります。必ず事前に、貸出館の依頼・利用・返却方法等を、相互貸借情報でご確認ください。
貸出可能な資料ですか?
所蔵していても、貸出しを行わない資料として指定されている場合や、資料の実物を確認したところ、劣化・損耗等により資料の状態が悪く、他館への貸出しはできないと判断される場合があります。貸出依頼を行う前に、参加館書誌表示画面の、「禁帯出等を示す注記」をご確認ください。
なお、必ずしも全ての書誌データに、貸出しの可否に関する情報が収載されているわけではありません。相互貸借情報には、各図書館の貸出資料の範囲が明記されている場合があります。必ず事前に相互貸借情報を確認したうえで、貸出館に依頼や問い合わせを行うように留意してください。
システムによる依頼の可否
貸出館が、システムを通じた依頼(電子メール、FAX)を受け付けている図書館かどうかご確認ください。システムを通じた依頼を受け付けていない図書館の場合は、相互貸借を依頼するボタンが表示されません。
なお、依頼に際しては、システムを通じた依頼を受け付けている図書館を安易に選択せず、依頼順序の基本原則に則り、「まず近くの図書館」からご依頼ください。
受付担当の確認
貸出館の受付担当を、相互貸借情報でご確認ください。図書館によっては、電話番号やFAX番号が複数あり、所蔵に関する問い合わせや相互貸借依頼の受付など、担当によって番号が異なる場合があります。
依頼内容の確認
依頼内容は十分にご確認ください。貸出依頼先や資料の書誌・所蔵に関する情報に間違いはないか、依頼者(自館)の図書館名、郵便番号・都道府県名を含む住所等の情報に漏れがないか、変更が生じていないかを十分に確認してからご依頼ください。
自館の図書館情報に漏れがある場合や、変更が生じている場合は、必ず管理機能により情報を更新してください。
(3)貸出条件を守る
個人貸出に限る、館内閲覧に限るなど、貸出条件は図書館ごとに異なります。貸出館の貸出条件を必ず確認し、その条件に従って資料をご利用ください。
(4)到着した資料の状態をチェックする
資料が到着したら、資料状態をチェックしてください。依頼した資料であるかどうかはもちろん、破損や事故がないか、傷み具合はどうか、付録の有無等、資料の状態を必ずご確認ください。不明な点や不安な点がある場合は、必ず到着時に貸出館にご確認ください。
(5)資料の取扱いに注意する
資料の取扱いに注意してください。大切な資料です。注意して取り扱ってください。
(6)資料を紛失・破損したら速やかに連絡する
万一、資料を紛失・破損した場合は、速やかに貸出館に連絡し、指示を仰いでください。
(7)借受館での複写は法や取決めを厳守して行う
借受館での複写については、次をご参照ください。
(8)返却期限を厳守する
返却期限は厳守してください。事情により遅れる場合には、必ず貸出館に連絡をしてください。貸出館では、その間、自館の利用者に対して資料を提供できなくなります。この点を常に意識してください。
(9)返却方法は貸出館の指示に従う
返却方法は図書館によって異なるため、必ず貸出館の指示に従ってください。貸出館は、他の多くの図書館からの貸出依頼を受けています。貸出館に無用な負担をかけないためにも、指示に従ってください。特に、梱包方法については、搬送の途中で破損することのないよう丁寧に行ってください。送られてきたときの状態を再現すれば、間違いがありません。
3 相互貸借の依頼手順
国立国会図書館サーチでは、検索を実行し、書誌情報を確認した後、その資料を所蔵する図書館に対して貸出しを依頼する機能があります。依頼する際には、所蔵館の相互貸借情報を確認し、同意する必要があります。
書誌詳細画面
依頼を行う図書館名の右側の「ILL依頼」ボタンをクリックすると相互貸借情報同意画面に進みます。
複数の図書館が資料を所蔵している場合、所属地区内の図書館への依頼を優先してください。他地区の図書館に依頼する際に、所属地区内で依頼可能な図書館がある場合、以下のように依頼先図書館の選択画面が表示されますので、改めて依頼先をご確認ください。
◎相互貸借依頼の基本原則をもう一度確認
①都道府県域内 → ②所属地区内の図書館 → ③他地区の図書館 → ④国立国会図書館
相互貸借情報同意画面
依頼先の図書館で複数の資料を所蔵している場合は、希望する資料を選択してください。依頼先図書館の相互貸借情報を十分に確認し、全ての条件に同意する場合は「相互貸借情報に同意して、確認に進む」ボタンをクリックしてください。なお、相互貸借情報は随時更新されますので、毎回確認して下さい。
依頼内容確認画面
依頼する資料の書誌情報や、依頼先及び自館の情報を改めて確認し、必要に応じて「担当者への連絡」欄に依頼先への連絡事項を入力した上で、希望する申込方法に応じて「FAXで依頼」ボタン又は「メールで依頼」ボタンをクリックしてください。なお、自館の情報に変更がある場合は、必ず管理画面から参加館情報を更新した上で依頼を行ってください。
依頼先の図書館が対応していない方式(FAX/メール)のボタンは表示されません。
また、自館が「ILL依頼メールアドレス」を登録していない場合、「メールで依頼」ボタンは表示されません。
FAXで依頼
相互貸借連絡票(FAX)の内容を確認し、問題がなければ「印刷する」ボタンをクリックして印刷し、依頼先にFAXで送信してください。
本システムにはFAX送信する機能はありません。相互貸借連絡票(FAX)を印刷した後、依頼先への送信を忘れないようにしてください。
メールで依頼
相互貸借連絡票(メール)の内容を確認し、問題がなければ「メールを送信」を選択して依頼メールを送信してください。
送信完了画面が表示されたら、送信済メールの内容を確認してください。画面右下の「送信内容」をクリックすると、送信された依頼メールの内容を確認することができます。
項目名 | 説明 |
---|---|
From | 事務局のメールアドレスが設定されます。 |
To | 依頼先の図書館の「ILL受付メールアドレス」が設定されます。 |
Cc | 依頼者(自館)の「ILL依頼メールアドレス」が設定されます。 |
Reply To | 依頼者(自館)の「ILL依頼メールアドレス」が設定されます。 ※画面には表示されません。 |